毎日 ChatGPT や Claude に資料作成や調査を任せていると、ふと止まる瞬間があります。「で、自分は何のためにこの仕事をしているんだっけ?」——そんな問いが、いつもより少しだけ大きく聞こえてくる時期に来ているように感じます。
そのモヤモヤを抱えたまま、本棚の奥から1冊取り出してきました。岩嵜博論・佐々木康裕『パーパス「意義化」する経済とその先』(NewsPicksパブリッシング・2021年)。刊行は5年前、生成AIブーム前夜の本です。
読み返してみると、当時よりいま読んだほうが響く本だ、というのが率直な感想でした。生成AI時代の「人間ができること/やること」を考える地図として、この本は静かに効いてきます。

かたてまポイント ── まずここだけ読んで
書籍の基本データ
| 書名 | パーパス「意義化」する経済とその先 |
| 著者 | 岩嵜 博論(武蔵野美術大学 教授)/佐々木 康裕(Takram 代表) |
| 編集 | 井上 慎平(NewsPicksパブリッシング) |
| 出版社 | NewsPicksパブリッシング |
| 発売 | 2021年9月 |
| ページ数 | 約265ページ |
| 読了時間の目安 | 約5〜7時間(章ごとに区切れば片手間で読める) |
こんな人に向けて書いています
- 生成AIで業務効率化が進むなかで、「自分の仕事の意味」を言語化したくなっている人
- 経営層・企画担当・人事・広報で、自社のパーパス策定や見直しに関わっている人
- 転職や副業を検討中で、給与だけでなく「会社の存在意義」で選びたい人
- 「SDGs/ESG/サステナビリティ」が用語の一覧で終わらず、自社事業の中核に組み込まれているか確認したい人
- Z世代・ミレニアル世代の消費行動や働き方の変化を、構造的に理解したい人
この本を一言で言うと
「これからの経済では、企業が『何のために存在するか(=パーパス)』が、商品スペックや価格よりも強い競争力になる」
Z世代の登場、ESG投資、政治不信、テック疲れ──複数の社会変化が交わるところで、ビジネスは「意義化」せざるを得ない。その地図と実装手順をまとめた本。
かたてまひとこと: 全8章のうち、第1〜3章(背景)と第8章(その先)だけ読んでも本書のメッセージは十分掴めます。第5章(パーパスの規定方法)と第6〜7章(実装事例)は、自社で導入を検討する立場の人向け。立場に応じて拾い読みでOK。
著者・書籍について
著者は2人組です。岩嵜博論さんは博報堂出身のビジネスデザイナーで、現在は武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科の教授。佐々木康裕さんはデザインファームTakramのディレクターで、ニュースレター「Lobsterr」の共同創業者でもあります。前作の『D2C ── 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』(NewsPicksパブリッシング・2020年)も話題になりました。
おもしろいのは、2人とも戦略コンサル出身でもアカデミアの経済学者でもないこと。デザイン思考とイノベーション論を背景に、ブランド/プロダクト/組織/資本市場を横断して語ります。だから本書は経営学の教科書というより、現場の感覚を持った観察者のフィールドノートに近い読み心地です。
書籍は2021年刊。「ESG」「サステナビリティ」「ステイクホルダー資本主義」といった言葉がビジネス界で広がり始めた時期で、本書はそうした単語がバラバラに語られていたものを「意義化する経済」として束ねた役割を果たしました。
本書の流れ ── 8章構成
約265ページの本ですが、構成は明快です。
| 章 | タイトル | ざっくり何が書かれているか |
| はじめに | Z世代が連れてくる未来 | オランダのストリートブランド「Patta」を入口に、企業への期待値の質的変化を提示 |
| 第1章 | 「意義化」する経済 7つの変化 | 企業の目的・消費者・コンテクストの3軸で起きている変化を整理 |
| 第2章 | ビジネスにおいてパーパスとは何か | パーパスの定義、CSR/CSVとの違い、Lemonade/Allbirds/ソニー/ナイキの事例、B Corp認証 |
| 第3章 | なぜ世界は急速に「意義化」するのか? | 政治・メディア不信、テックラッシュ、環境危機、ESGの台頭 |
| 第4章 | パーパス起点のビジネスのあり方 | リニア型→ループ型、プロダクト→プロセス、EP&L等の非財務指標 |
| 第5章 | パーパスを規定する | 4ステップの実践方法(自組織探索→社会探索→統合→具現化) |
| 第6章 | ステイクホルダーと協働する | 従業員・サプライヤー・顧客・地域・株主の5者との協働事例 |
| 第7章 | パーパスをビジネスに実装する | パタゴニア/IKEA/ユニリーバの製品・事業開発の実例 |
| 第8章 | 「意義化」する経済の、その先 | ロングターム/パブリック/クリエイター・エコノミーへの未来予測 |
第1〜3章で背景を整理し、第4〜7章で実装を語り、第8章で未来を描く。理論→実践→未来の3段ロケット構成です。自社にパーパスを導入する立場でないなら、第1〜3章+第8章だけでも十分にメッセージは掴めます。
読む前に、ちょっと自分に問いかけてみる
本書を読み始める前に、以下の3つの問いを自分に投げかけてみてください。全部の答えがすぐに出る必要はありません。引っかかる問いほど、本書を読み終えたあとに自分の中で景色が変わるはずです。
問い1:自分の会社(または仕事)のWhyを、3行で説明できますか?
「何をしているか(What)」「どうやっているか(How)」は説明できる人が多いのに、「なぜそれをやっているか(Why)」になると詰まる──というのが本書の出発点。AIに代替できるのはWhatとHowで、Whyだけは残ります。
問い2:商品を選ぶとき、「会社のスタンス」を意識していますか?
無意識のうちに、コーヒー1杯やTシャツ1枚で「この会社を応援したい/したくない」を判断していませんか? 本書はその意識化された購買を「投票としての消費」と呼びます。
問い3:5年後、自分は今と同じ会社で同じ仕事をしている自分を想像できますか? それで幸せそうですか?
これは本書の終盤で示される、ちょっと残酷な問いです。「解放された個人に企業が選ばれる時代」に、自分はどちらの側に立っているか──を考える入口になります。
印象に残った3つのポイント
1. パーパスは CSR や CSV と違う ── 事業の「コア」に統合する
本書のいちばんの強みは、パーパスを既存の概念と混同しないようにきっちり腑分けしているところです。
| 概念 | 立ち位置 |
| CSR(社会的責任) | 事業の外側で、本業とは別に社会貢献活動を行う |
| CSV(共有価値) | 事業の接点で、本業と社会価値の重なりを探す |
| パーパス | 事業のコアで、「なぜ存在するか」を企業活動全体で表現する |
著者はこう書きます。
重要なのは、これらの活動を既存の事業に後付けで付加していくのではなく、企業活動のコアに統合し、組み直していく必要があるという点だ。
つまり、CSR/CSV的な「やってますアピール」では今の消費者には通用しないということです。本書はミルトン・フリードマンの有名な命題「ビジネスの社会的責任はただ1つ。利潤を増やすことである」(1970年)からの決別を、はっきり宣言します。50年続いた「株主第一主義」の終わり、というのが本書の第一の主張です。
2. 「意義化」が起きている3つの背景 ── 単なる流行ではない
「パーパス」という言葉だけ聞くと、最近のビジネスバズワードの1つに見えます。でも本書は、これが3つの大きな潮流の合流点で起きている不可逆的な変化だと位置づけます。
(a) 消費者の変化
Z世代(1997〜2012年生まれ)とミレニアル世代(1980年代〜90年代後半生まれ)は、「スタイル(見た目)」より「スタンス(立場)」を重視する世代として育っています。Edelman の調査によれば、若い世代の3分の2が、ブランドの社会的・政治的立場に基づいて購入を決定している。
(b) 政治・メディアへの不信
2019年の Pew Research の調査では、政府が「正しいことをする」と信じているアメリカ人は17%しかない(1964年は77%)。同様の傾向は世界各国で見られ、その信頼の空白を、企業やブランドが埋め始めている。
(c) 資本市場の変化
ESG投資の拡大、米経営者団体BRT(ビジネスラウンドテーブル)の2019年「ステイクホルダー資本主義」声明、長期主義(ロングターム)への回帰──資本市場側からも、短期利益最大化からの転換圧力がかかっています。
パーパスが重視される流れは、地球環境の変化、消費者の価値観の変化、企業の競争環境の変化などさまざまな潮流の結節点であり、不可逆的な変化だ。
「流行だから対応しておこう」ではなく、逆向きには戻れない構造変化として捉えるべき、という主張です。
3. 「オーガニゼーション・マン」から「クリエイター・エコノミー」へ
3つ目は、本書の最終章(第8章)で語られる人材・働き方の話。私が本書のなかで一番唸ったポイントです。
1956年に W.H. ホワイトが書いた『組織のなかの人間(The Organization Man)』は、戦後アメリカの「組織に忠誠を尽くし、均質化されたサラリーマン人生を送る」という働き方を活写した古典です。本書は、その時代がいままさに終わりつつあると論じます。
代わりに来るのがクリエイター・エコノミー──個人が自分のスキル・コンテンツ・コミュニティで稼ぎ、組織に縛られずにキャリアをコントロールする働き方です。
本書はこう書きます。
解放された個人に企業が選ばれる時代へ。
ここがこの本の通奏低音だと思います。かつては企業が個人を選んでいた。これからは、個人が企業を選ぶ。給与でも知名度でもなく、「この会社のパーパスに自分のWhyが重なるか」で選ぶ。
そして、選ばれない企業は人材が集まらず、いずれ消えていく──というのが本書の冷静な観察です。
2026年の補足:
このパートは2026年現在、明らかに現実化しつつあります。生成AIの普及で、個人が小さなチームでも事業を立ち上げられる時代になりました。一人会社でAIを使い倒し、組織に属さずに大企業並みの成果を出す例が、SaaSや創作・コンサル領域で増えています。本書が予言した「解放された個人」が、AIという最強の道具を手にして加速している──というのが2026年の風景です。

日本でパーパスを大切にしている3社
本書では Patta/Allbirds/Cotopaxi/ナイキ/ユニリーバなど、海外のパーパス先進企業が中心に紹介されます(ソニーは唯一の日本企業として紹介)。せっかくなので、日本企業でパーパスを軸にしている代表例を、本書の理論で読み解いてみます。業種・規模が異なる3社を選びました。
1. ソニー ──「KANDO」で多事業を貫く
「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」
ソニーは2019年1月、吉田憲一郎社長のもとでこのパーパスを策定しました。本書 第2章でも「パーパスを実践する企業」として紹介されています。
ソニーの面白さは、エレクトロニクス・ゲーム(PlayStation)・音楽・映画・金融という、事業領域がバラバラに見える多角化企業である点です。普通ならグループ全体を貫く軸を作るのは難しい。それを「感動(KANDO)」という1つの言葉で繋いだのがこのパーパスです。
これは本書がいう「パーパスは事業のコアに統合する」の好例。コロナ禍で多くの企業が混乱した時期も、ソニーは「感動を届ける」という軸が組織を一体化させた、と語られています。

2. ヤッホーブルーイング ──「ファン体験」でパーパスを体現
「ビールに味を!人生に幸せを!」
長野・軽井沢発のクラフトビールメーカー。「よなよなエール」で全国区になった会社ですが、本書の理論で見るとパーパスを「商品」だけでなく「体験」で体現している点がユニークです。
大手ビール3社の画一的なラガーが市場を支配していた時代に、「ビールに多様性を持ち込み、人生にささやかな幸せを届ける」という旗を立てた。それを商品開発だけでなく、ファンイベント「宴」「ビアフェス」、ファン参加型の商品開発、社員があだ名で呼び合うフラットな組織文化まで、すべてのタッチポイントで一貫して表現しています。
代表の井手直行さん(社内呼称「てんちょ」)の「よなよなエールでノーベル平和賞受賞が夢」という発言が象徴的。普通の会社員の「ビジネスとしてのビール」ではなく、「ビールを通じた幸せの拡張」というパーパス領域で勝負している。本書がいう「コミュニケーションのゴールはバズではなく波」を、地道に20年以上続けてきた会社です。

3. サイボウズ ──「組織と事業の一致」で攻める
「チームワークあふれる社会を創る」
グループウェア(kintone、サイボウズOffice)大手のサイボウズは、パーパスと事業ドメインがほぼ完全に一致している珍しい会社です。「チームワークあふれる社会を創る」というパーパスのために、チームの情報共有を支えるソフトウェアを作っているわけです。
しかも、それを社内に対しても徹底している。複業OK、勤務時間自由選択、社員全員の「やりたいこと」を社内公開といった人事制度はすべて、「チームワーク」というパーパスを社内で体現するための仕組み。本書がいう「パーパスは自律的組織における北極星となる」のお手本のような会社です。
外向きのマーケティング・採用メッセージ・プロダクト・人事制度のすべてが「チームワーク」という1本の軸で貫かれている。本書の第6章で語られる「ステイクホルダー1:従業員」との協働の理想形に近いと感じます。

3社に共通すること
業種も規模も体現方法も違う3社ですが、本書の理論で読み解くと共通点が見えてきます。
- パーパスが経営者個人の思いつきではなく、事業構造に統合されている
- 商品やサービスだけでなく、組織文化・人事制度・採用にもパーパスが反映されている
- 短期の売上ではなく、長期のファンや人材の信頼を基盤に成長している
「パーパスがあると業績が伸びるか?」という単純な問いではなく、「パーパスが事業の前提として組み込まれた会社が、結果として持続的に強い」──というのが、本書の主張と3社の実例から見えてくる答えです。
2026年・生成AI時代に本書を読み直す
ここまで本書のロジックと日本の実例を見てきましたが、最後にこの本を2026年の今、生成AI時代に読む意味を整理させてください。これは本書の射程の少し外側になりますが、書評を書きながらいちばん書きたかったパートです。
AIが効率化できる時代だからこそ、Whyが問われる
生成AIは、本書執筆時の2021年には現在の形では存在していませんでした。それでも本書のメッセージは、むしろ生成AIの普及によって意味を強めていると感じます。
理由はシンプルで、AIが人間の仕事の「What」と「How」を急速に代替しているからです。資料作成、調査、要約、コード生成、画像生成──これらはAIに任せられる時代になりました。でも、「なぜそれをやるのか(Why)」だけは、AIには決められない。
本書がいう「パーパス=Why」の重要性は、AI時代に逆説的に高まっているわけです。AIに丸投げしたまま走り続けられる仕事は、結局AIに置き換えられる。残るのは、「Why を定義し、AIにはできない判断と意義づけをする仕事」──本書が論じている領域そのものです。

「解放された個人」とパーパスの親和性
本書 第8章の「クリエイター・エコノミー」予言は、生成AIの普及で前倒しで現実化しています。AI を使い倒せば、一人会社でも大企業並みのアウトプットが出せる時代。組織に属する必然性が薄れた個人は、会社を給与だけで選ばなくなる。
そうなったとき、企業が個人を惹きつける武器は何か? 本書の答えは明快です。「パーパス」です。
「ここで働く意味」を提示できない会社は、AI を持った優秀な個人に選ばれない。これは大企業のCHRO(人事責任者)も、スタートアップの創業者も、これから本気で考えなければいけない問題でしょう。
そしてもう1つ。本書は主に企業のパーパスを論じますが、2026年に読む我々は、これを個人のパーパスにも転用すべき時代にいると思います。AIに代替されない自分の仕事を作るには、自分自身のWhyを持つしかない。本書は企業向けの本ですが、最終章のクリエイター・エコノミー論は、個人のキャリア設計の指南書としても読めます。
どうビジネス・キャリアに活かせるか
書評で一番書きたかったパートです。本書を明日からの仕事にどう使えるかを3つの角度で整理してみました。
応用1:自分の仕事のWhyを言葉にする
本書のフレームワーク(第5章のSTEP1〜4)は企業向けですが、個人にも縮小して使えます。
- 自分の経歴のなかで、いちばん夢中だった瞬間は何だったか?
- そのとき自分は誰のために、何を大事にしていたか?
- それを今の仕事に翻訳するとどうなるか?
これを2〜3行で言語化しておくと、AIで効率化されていく日常のなかで、自分が何のために仕事をしているのかを見失わない軸になります。
応用2:AIに任せる業務と「自分が向き合う領域」を切り分ける
本書がいう「事業の周辺」と「事業のコア」の区分は、個人の業務にもそのまま応用できます。
- AIに任せる:資料作成、データ整形、調査要約、コーディング作業(What/How)
- 自分が向き合う:意義の言語化、ステイクホルダーとの関係性、長期判断、倫理的判断(Why)
業務の棚卸しをして「Why の業務」に時間を集中させる、というのは、生成AI時代の最も実用的な働き方改革だと思います。

応用3:パーパスのある会社・取引先を意識的に選ぶ
最後は読者としての応用です。就職・転職・取引先選び・投資先選びで、給与や条件だけでなくパーパスの一致度を判断軸に入れてみる。
本書を読むと、パーパスがある会社とない会社が見分けられるようになります。コーポレートサイトのトップに「私たちは何のために存在するか」が書かれているか。それが商品開発・人事制度・コミュニケーションに一貫して反映されているか。3つくらいの観点でチェックすれば、「パーパスを掲げているふりの会社」と「本気の会社」は意外と見分けられます。
次に読むなら、この3冊
『パーパス「意義化」する経済とその先』を読み終えたあとの自然な次の一歩として、3冊選びました。逆に、「明日の経営会議で使える即効性のあるテンプレート」を求める人には、本書も含めて少し物足りないかもしれません。本書はOS(思考の基盤)をアップデートする本で、テクニック集ではないからです。
1. 山口周『ビジネスの未来 ── エコノミーにヒューマニティを取り戻す』(2020年・プレジデント社)
本書とほぼ同時期に書かれた、思考の隣接書として最初に読みたい1冊。
ビジネスは「役に立つ」から「意味がある」へとシフトしている──という山口さんの議論は、本書がいう「意義化する経済」と地続きです。哲学・歴史の参照範囲が広く、「なぜビジネスにヒューマニティ(人間性)が必要か」を一段深く掘るときに最適。本書とセットで読むと、パーパス論を背景の歴史思想と接続できます。
2. イヴォン・シュイナード『新版 社員をサーフィンに行かせよう ── パタゴニア経営のすべて』(東洋経済新報社)
本書で繰り返し登場するパーパス先進企業・パタゴニアの創業者本人による経営論。
本書がパタゴニアを「パーパス起点の製品開発」の代表例として紹介しているとおり、パタゴニアは半世紀近くにわたって「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」を実践してきた会社です。本書(パーパス本)が理論編だとすれば、こちらは実践編・自伝編。創業者が現場で何を大事にしてきたか、生々しい事例で読めます。
3. 佐々木康裕『D2C ── 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』(2020年・NewsPicksパブリッシング)
本書の前作。同じ著者の思考の系譜を辿りたい人に。
「Direct to Consumer(消費者直販)」を切り口に、ブランドが世界観・スタンスでファンと繋がる時代を論じた本。本書(パーパス本)に至る思考の前段階で、「なぜブランドにパーパスが必要になるのか」の問いが芽吹いています。佐々木さんの観察者としての視点の鋭さは前作のほうが先鋭的かもしれません。
まとめ ── 3つのポイントを再掲
| ポイント | 内容 | 2026年の今読むと |
| パーパス=事業のコア | CSR/CSVの「事業の周辺」とは違う、企業活動の中核そのもの | AIで効率化が進むほど、Why を定義する力が差別化要因に |
| 意義化の3背景 | 消費者の変化/政治・メディア不信/資本市場の変化が同時進行 | Z世代がもう「未来」ではなく「主役」。本書の予言は実現中 |
| クリエイター・エコノミー | 解放された個人に企業が選ばれる時代へ | AIで個人事業の生産性が爆増、パーパスが企業の唯一の磁石に |
5年前の本ですが、生成AI時代の今こそ読み直す価値がある1冊です。「効率化」「自動化」のドクマに少し疲れたとき、「で、自分は何のためにこれをやっているんだっけ?」という問いに戻りたくなったら、ぜひ手に取ってみてください。
そして、もし本書を読み終えて「もっと深く潜りたい」と思ったら、上記の3冊が次の旅を待っています。
最終更新: 2026年4月 / 出典: 岩嵜博論・佐々木康裕『パーパス「意義化」する経済とその先』(NewsPicksパブリッシング, 2021年)

